音楽著作権管理市場1200億円

NexTone は楽曲著作権者と利用者との間に立ち、著作権の管理と利用促進を実施する著作権エージェントとなっている。楽曲著作権管理の市場は国策の元に JASRAC が独占で事業を展開していたが、2000 年 11 月に著作権等管理事業法が成立したことで自由化された。

その際多くの企業が市場に参入したものの、多くが事業化に至らずに撤退し、同社は 2000 年 9 月に設立されたイーライセンス社と、2000 年 12 月に設立されたジャパン・ライツ・クリアランスが合併する形で、2016 年 2 月に設立された。

楽曲著作権管理の市場は、配信楽曲数の増加に反して十数年間横ばいでの推移となっており、市場規模は 1,100 億円から 1,200 億円程度となっている。この市場のほとんどを JASRAC が占めており、同社の市場シェアは 4%程度となっている。
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JASRAC が楽曲の著作権所有者と信託契約を締結するのに対して、同社では委託契約を締結している。信託契約では楽曲の権利が JASRAC 側に移転することから、著作権者の意思が反映されにくい仕組みとなっている。

一方で、同社が締結する委託契約では楽曲の権利が著作権者側に残ることになり、著作権者の裁量による柔軟な運用が可能となっている。また、同社では自社開発のシステムによる高い透明性も特徴としている。同社では著作権料を支払う際に、著作権者に対してどの番組で、どの時間に、何秒使われたかなどの項目を記した精緻な明細書を発行しており、著作権者に対して高い透明性を提供するとともに、この明細書が著作権者側でマーケティングなどにも活用されている。なお、著作権管理団体の変更は年に 1 度だけ可能となっている。


2021 年 3 月期第 2 四半期の業績は、売上高が前年同期比 29.1%増の 26.4 億円、営業利益が前年同期比 65.7%増の 2.1億円となった。セグメント別では、主力の著作権等管理事業の売上高が前年同期比 48.0%増の 25.3 億円、セグメント利益が前年同期比 42.1%増の 4.6 億円となった。

コロナ禍で CD や映像ソフトの販売延期の影響があったものの、配信サービスが好調に推移したほか、管理楽曲・取扱原盤の獲得も順調に推移した。2020 年 9 月末の管理楽曲数は前期末比 15.5%増の 193,470 曲、取扱原盤数は前期末比 12.0%増の 701,823 件にまで拡大した。

キャスティング事業の売上高は前年同期比 76.0%減の 0.6 億円、セグメント利益は前年同期比 88.5%減の 0.03 億円となった。コロナ禍で無観客ライブなどのサポート業務を実施したものの、映画館やイベント案件の消失をカバーするまでには至らず、大幅な減収減益となった。

2021 年 3 月期通期の業績予想は、管理楽曲数が前期末比 28.3%増の 215,000 曲、売上高が前期比 28.9%増の 56.0 億円、営業利益が前期比 24.6%増の 3.8 億円となっている。通期業績予想に対する上期業績の進捗率は、売上高で 47.2%、営業利益で 57.1%となっており、利益面を中心に高水準の進捗率となっているものの、下期には人件費やシステム費用 の増加を見込んでいるほか、キャスティング事業でのサービス構成の変化に伴う収益性の低下を見込んでいることから、通期の業績予想は据え置きとなっている。

しかしながら、通期の業績予想では新型コロナウイルスの感染拡大の影響が 通期で続くことを想定するなど保守的な業績予想となっており、今後上振れも期待されるものと思われる。セグメント 別では、主力の著作権等管理事業の売上高が前期比 29.6%増の 49.0 億円、セグメント利益が前期比 2.6%減の 6.7 億円、キャスティング事業の売上高が前期比 30.7%増の6.0 億円、セグメント利益が前期比 72.2%減の 0.1 億円を見込んでいる。
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同社ではアーティストの支援を強化していくことで、市場シェアの拡大を目指していく方針を示している。同社では著作権管理業務以外にも、国内外の音楽配信プラットフォーム向けに音楽・映像コンテンツの供給を手掛けるデジタルコンテンツディストリビューション事業、アーティストの稼働やライブビューイングを手掛けるキャスティング事業などのアーティスト活動を支援するサービスも手掛けており、アーティスト活動のサポートを通じて管理楽曲数の増加と楽曲の価値最大化を目指していく。

また、国内では演奏権の獲得を目指していく方針も示している。同社では録音権、出版権、貸与権などは取り扱っているものの、カラオケ店からの著作権料の徴収ルートを有していないことから演奏権を取り扱えずにいる。カラオケ店からは JASRAC が独占で著作権料を徴収しており、約 25%の高い著作権料を徴収している。

今から 1 件 1 件のカラオケ店と契約を締結していくことは難しく、同社ではカラオケ機器メーカー経由での著作権料の徴収方法を模索している。さらに、同社では海外での著作権料の徴収にも取り組んでいく方針を示している。 JASRAC が海外で徴収する著作権料である団体国徴収は僅か 5 億円に留まっており、関係者から少なすぎると不満が高まっている模様。

同社では YouTube と 146 か国・地域で直接契約を締結しているほか、2020 年 11 月には欧州の著作権
管理事業者と海外利用における著作権使用料の徴収代行契約を締結することを発表している。同社ではカラオケ徴収、海外徴収の取り組みについて、仕組みの構築に 3 年程度、著作権保有者の獲得に 5 年程度かかるとの見通しを示しており、長期的な取り組みとして注目される。
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